【支援の迷い…】言うことを聞かない自閉スペクトラム児への対応
療育支援員や児童指導員をはじめたあなたは、「やめてって言ってるのになぜ言うことを聞いてくれないの?」「言葉で伝わらないならどう対応すればいいいの?」と支援に迷うことはありませんか?
今回はその「なぜ」について、事例を混ぜながら解説していきます。
この記事を書いている私は、高卒から販売業と医療事務などの経験を経て、児童発達支援事業所計4年、就労移行支援事業所4年目突入と、キャリアチェンジを3回とアルバイトやWワークを含めると転職を15社経験した私が書いています。
支援事例は約300名、年齢問わず直接支援のコツや対人支援職においての自分の守り方には経験は積んできている方だと思っています。
この記事では「言うことを聞いてくれない自閉スペクトラム症児への対応」について、特に「やめて」を聞かないなんでも手を出してしまう子について解説します。
○なぜやめてと言ってるのに言うことを聞いてくれないのか
○負荷を減らしながら子どもに支援を行う方法
○「やめて」で伝わらない時の対応方法
この考えを持つことができると、子どもに負荷をかけすぎずに支援ができ、ご家族や他の指導員や支援員から認められるような支援員として活躍できますよ。
言うことを聞かないにも理由がある
支援方法が発達段階と合っていない
「やめてほしいこと」って子どもに対して「〇〇しないでね〜」「〇〇くんやめてね〜」と言っていませんか?
小学生とか、ある程度年齢が大きくなっていれば口頭での注意でわかる子も多いかと思います。ですが、療育支援では何かしらの特性のある子どもです。例えば年齢が5歳だけど発達段階を考えるともう少し低めかもしれない…なんてことは結構あります。
言語で一度言えばわかるであろうことも発達段階にあっていないと会話や文章の意図と意味理解ができない場合があるのです。だから何度伝えても伝わらない=言うことを聞いてくれないとなってしまうのでしょう。
会話の理解をしていない

自閉スペクトラム症の特性を持つ可能性がある子どもは、会話から含みを汲み取ることが難しいです。なので、「何をダメだと言われているのか」「何をやめたらいいのかがわからない」のです。
そうなると、きっと支援員の方々の対応は大きくふたつに分かれると思います。
①わかるまでその都度伝えていく(伝えないとわからないから)
②発達段階や特性の傾向に合わせて環境調整しながら工夫する
ここはそれぞれの支援員の方の支援スタイルによると思います。
私は②の考え方や支援方法で支援を行っていたので今回は②のパターンで進めていきます。
今からできる環境調整
環境調整とは
発達障害やその傾向がある方々が、無理にまわりに合わせるのではなく、「自分らしく、楽に生きられる場所を作る」ための非常に大切な考え方を指しています。
例えば、感覚過敏などがある場合はイヤーマフラーをする、視覚刺激が多い場合はパーテーションで区切ったり整理整頓をして視覚情報を減らす、口頭だけでうまくいかないならメモなど視覚的に伝えるなど、物理的なもの、やり方や仕組み、接し方も環境調整のひとつとなります。
「その行動、やめてほしい」同じゴールを目指すなら負荷が少ない方がいい
支援の方針について
先ほど説明したこちら
①わかるまでその都度伝えていく(伝えないとわからないから)
②発達段階や特性の傾向に合わせて環境調整しながら工夫する
支援方法にはそれぞれの支援員のやり方や意図があるのでなんとも言えませんが、どちらにしても「やめてと言っていることはやらないでほしい」という目標は同じです。
同じ目標に向かうのであれば、負荷が少ない②の環境を調整する方がいいですね。
困った行動ではなく「特性」として見る
何度も同じことを伝えていくことで、「あぁまた言われた…」「怒られてばかりで自分はダメな子なんだ」と、子どもとしては自己否定感が強くなってしまったりします。また、指摘や対象となっているものを預かったりすることで子どもが泣いたり怒ったりしてフラストレーションが溜まってしまいますよね。
それなら初めから、行動を特性としてみて、「どうしたら無理なく行動が変わるのか」という視点で見れるといいですよね。
支援員の目線でも同じです。これは私が体感したことなので全員がそうではないですが、指摘して泣かせてしまったり怒らせてしまうことで、本当は「行動をやめさせたかった」だけなのに「嫌なことからの切り替えの話」や「かんしゃくへの対応」など別の問題への支援が必要になります。
それがその子の課題として支援を行なっている場合を除き、大人が無理に適応させようとすることで別の対応が出てしまうと、支援員としても困ったり疲弊したりするつまり支援員にも負荷はかかると思います。
子どもも大人も負荷がなるべく少ない方が、心穏やかに本当の課題に向き合うことができるのではないかと思います。

「やめてほしいことをやるだろうな」とわかってるなら、事前に環境を調整してあげることも大切だと思います。
事例をもとに解説
今度は前述した内容をもとに、実際の事例を紹介し、やって良かった対応方法とやらなければ良かった対応方法をご紹介します。
case1ホワイトボードの字を消してしまう

Aくん自閉傾向のある子幼児さん。
ホワイトボードクリーナーが気になり手にとって字を消すことにハマってしまい目につくといつもそればかり。
「やめて」が通じず同じことの繰り返し。
対応①支援員Bが「やめてね」といっても「いや!」と言う。「やめてね〜消さないでね〜」と伝えながらその場からだっこで連れていく。Aくんは泣いて暴れて落ち着くまで時間がかかった。
対応②支援員Cが何も言わずにAくんの好きなおもちゃを見せる。Aくんはおもちゃの方に興味が逸れてその場から支援員Cと離れることができた。
対応①の場合は、子どもにとっては楽しいことをやっているのにその場から引き剥がされたら嫌ですよね。「やめてね」がわかっていなかった可能性もありますね。
対応②の場合は、子どもの傾向に合わせ、言葉で伝わらないのであれば視覚的に興味を惹きつけてからAくん自ら離れていますね。指摘をすることもなく泣いたり怒ることもない。負荷をかけずに誘導できています。

言葉で伝わらない時は好きなものを使って気を逸せる。これが大人が伝え方を工夫した環境調整です。
case2パーテーションを倒しまくる
Bくん自閉傾向のある幼児さん。発話はあるが言語理解も曖昧。
空間を仕切るパーテーションが気になり倒して遊ぶ。パーテーションは倒して遊ぶものとパターン化されてしまっている。
「やめて」が通じず同じことの繰り返し。
対応①支援員Aが「倒さないでね」といっても「たおす〜」と言って同じ繰り返し。倒しては直してで机上課題があまり進められない。
対応②Bくんがパーテーションで遊ぶ前に好きなおもちゃがたくさん入った箱を見せる。好きなものを選んでいるうちにパーテーションが視界に入らないよう席の配置を変える。好きなおもちゃの組み合わせで遊び始め興味がそちらに代わり、パーテーションは倒さなくなった。
対応①の場合もやはり言葉だけでは伝わっていませんね。倒すことそのものが楽しくなってしまっています。早めに解決しないといつまでも机上課題が進みません。
対応②の場合は、好きなものを選んでもらい、その間にパーテーションが視界に入らないように座る場所を変えたり意識が逸れないように工夫しています。
このように、支援員のちょっとした工夫で子どもの行動は変わっていきます。もし、指摘ばかりになっている、毎回泣かれてしまって困っていることがあれば参考にしてみてくださいね。
支援のポイント
もちろん、case1もcase2も、実際の現場では毎回こうすればうまくいくわけではないです。
なぜ、それぞれのcase対応②の支援員が環境調整に成功し子どもの行動を止められたのか。それは、日頃から子どもの行動、好きなもの、どんな関わり方ならわかりやすいのかをしっかり観察し、子どもを理解することで支援に携わることができるのです。
はじめは同じ対応で行動が変えられていても、次第に飽きてしまったり子どもも予測がつくようになります。対応がマンネリ化してくる前に次の一手を持てるようにしておけるといいですね。
そのためには、子どもをよくみて「今」なにが好きなのかなどをよく理解することが大事ですよね。
まとめ
いかがでしたか?
今回はこちらの内容が少しでも参考になれたら幸いです。
○なぜ言うことを聞いてくれないのか
○負荷を減らしながら子どもに支援を行う方法
○「やめて」で伝わらない時の対応方法
言葉で「やめて」と伝えても含みを汲み取ることが苦手、意図がわかっていないなどの理由がありますね。
それなのに何度も言葉で伝えてその都度泣いて怒ってでは負荷が高すぎます。
負荷が高くなってしまうと自己否定感などが強くなってしまい、二次障害の可能性があるので、その子の発達段階に合わせたわかりやすい伝え方で支援員が環境を調整し行動を変えていくことが望ましいでしょう。
今回のテーマは、どこの療育施設でもよくある話かと思います。支援員1年目のあなたの手数が少しでも増えて、子どもにとっても支援員にとっても負荷が少なく過ごせるヒントになると幸いです。
私は未経験知識0で療育、福祉業界にキャリアチェンジをして、現場で実務を通して学びスキルを向上させてきた経験を踏まえ、知識0が知識を一つずつ増やしていく方法として役に立った書籍や事例を紹介しています。療育支援に挑戦しているけど教科書通りにうまくいかない、発達の傾向がある子どもたちと関わるヒントを得たいという方へ情報発信をしていきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。

